ライソゾーム病は酵素欠損による疾患であり、その欠損した酵素を補充することが根本治療となる。酵素を補充する方法として以下の3種類の方法が行われている。
1)遺伝子組換精製酵素を静脈内に注射する方法
現在酵素補充療法が成功し、保険医療として認められている。
 日本ではゴーシェ病、ファブリー病
 米国ではゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症VI型
 ヨーロッパでは、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型、糖原病II型
 
糖原病II型、ムコ多糖症I型、II型では国際共同治験が行なわれている。その他のムコ多糖症についても開発が進んでいる。
しかし、酵素は分子量の大きい蛋白質であり、脳の神経細胞などには血流からは到達できないため、中枢神経病変をきたす疾患に対しては効果がない。また、骨病変に対する効果には時間がかかる。
2)骨髄移植で正常細胞を入れて補う方法
移植した骨髄由来細胞が種々の臓器に入り酵素欠損を補う役目をする。脳にもミクログリアとして入り込む。ムコ多糖症I型(ハーラー症候群)では2歳以下の早期の移植の有用性が報告されている。移植は疾患によって効果が限られており、またドナー、拒絶反応など多くの問題があり、経験ある施設で行うのが良い。
2005年現在 MPSI型400例
         他のMPS 180例
         副腎白質ジストロフィー 160例
         異染性白質ジストロフィー 70例
         クラッベ病 80例
         その他 80例
3)遺伝子治療
現在までヒトで遺伝子治療が行われたのはゴーシェ病のみで、レトロウイルスベクターをもちいて行われたが成功はしなっかた。
4)その他の治療法
蓄積物質が出来にくくする薬物を飲む。ヨーロッパではゴーシェ病で蓄積しているグロコセレブロシドの合成を抑える薬物(Zaversca)が軽症のゴーシェ病T型にのみ認可されている。ある程度の効果が認められているが酵素補充療法には及ばないが、治療費は安い。
ライソゾーム病の治療は、一般的には対症療法が中心となる。つまり、療育を含め、いろいろな問題(けいれん、嚥下障害、呼吸障害など)が出てきたときに、それに対応する治療を行うことになる。