ここではライソゾーム病の分類をご紹介いたします。

糖原病II型

<分類される疾患>

ポンペ病
1965年Hersによってライソゾーム病の疾患概念が提唱された疾患である。
酸性αーグルコシダーゼ欠損によりライソゾームにグリコーゲンの蓄積する疾患である。糖原病でII型のみがライソゾーム病である。
皮膚線維芽細胞、ライソゾーム内に多数のグリコーゲン顆粒が認められた。
スフィンゴリピドーシス

<分類される疾患>


GM1、GM2ガングリオシドーシス
ファブリー病、ゴーシェ病、クラッベ病
異染性白質ジストロフィー症
スフィンゴリピドはスフィンゴシンに、脂肪酸、糖鎖またはフォスフォリールコリンの結合した脂質で、中枢神経系に多く存在する。この糖鎖部分を分解する酵素がライソゾームに存在し、これら酵素異常にて、中枢神経症状、肝脾腫を呈する。図2にスフィンゴ脂質の蓄積の特徴である典型的なMCB(membraneous cytoplasmic body)を呈する、これは、乳児型GM1ガングリオシドーシスの直腸粘膜の神経細胞のライソゾーム内に認められた。
ムコ多糖症

<分類される疾患>
ムコ多糖尿症I-VII型
ムコ多糖とは、グルコサミノグリカンともいいプロテオグリカン(ムコ蛋白質)の主構成分である多糖類部分の総称で、多くのものがウロン酸(L-glucronic acid,L-iduronic acid)とアミノ糖(D-glucosamine, D-galactosamine)またはその硫酸エステル2種の単糖の繰り返し構造をもっている。デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などがあり、これらの分解に関与するライソゾーム酵素の欠損により尿中に多量のムコ多糖の排泄が認められる疾患である。図3にハンター症候群の血管内皮細胞に認められた多数の空胞を示す
糖蛋白代謝異常症
<分類される疾患>
フコシドーシス、マンノシドーシス
ムコリピドーシス
ガラクトシアリドーシス
糖蛋白の糖鎖部分は、非還元端末よりエキソグリコシダーゼ、N-acetyglucosamine結合を切断するエンドβーヘキソサミニダーゼ、アスパラギン糖鎖結合部位を切断するaspartylgucosaminidaseにより分解される。これら酵素の欠損症により、臓器に糖蛋白が蓄積し、尿中に疾患特有のオリゴ糖の排泄される疾患である。またゴルジの糖転移酵素の欠損で、ライソゾームに酵素が転送されないため、多くの酵素が低下するI-Cell病、βーガラクトシダーゼとαーノイラミニダーゼの蛋白を保護する保護蛋白の欠損症であるガラクトシアリドーシスも含まれる。図4はマンノシドーシス患者血管内皮細胞内に認められた電子密度の高い封入体である。糖蛋白代謝異常でも通常封入体は空胞として認められることが多い。
ライソゾームよりの転送異常症
<分類される疾患名>
シアル酸尿症、シスチノーシス
ライソゾームから分解された物質が転送されない疾患として、シスチンの蓄積の認められるシスチノーシス、遊離シアル酸の蓄積の認められるサラ病(シアル酸尿症)がある。